LabVIEWは計測器制御を行うためのプログラミング言語としてハードウェアへのアクセスおよび接続についてはかなり便利な言語と言えます。
そして、データ解析用の関数も一通りそろっているので、測定して得られたデータの処理についても対応しやすくなっています。
ただ、データを可視化するための機能、グラフやチャートは、必要最低限の機能は揃っているものの、「キレイ」ではありません。
もっと見た目にキレイで、そこに加えて基本的なカスタマイズ機能が揃っているようなツールキットであるAdvanced Plotting Toolkitを使用することで、よりキレイに結果を見せることができるので、今回はこれについての紹介です。
(ツールキットは無償で使用できますが、すぐ下で紹介するようにVIパッケージマネージャからのインストールを必要とします)
VIパッケージマネージャからツールキットをインストールする
今回使用するのはAdvanced Plotting Toolkitというツールキットです。
こちらのツールキットはVIパッケージマネージャからインストールして使えるようになります。
VIパッケージマネージャは、よく似た名前のNIパッケージマネージャが「NI製のソフトウェアを管理するためのツール」であるのに対して、「LabVIEWで使用できるツールキットを管理するためのツール」です。
LabVIEWをインストールしたら知らない間にインストールされていた、という方もいるかと思いますが、なかったとしてもNIパッケージマネージャからインストールすることができます。

この、LabVIEWで使用できるツールというのは無償あるいは有償で使えるものがありますが、今回紹介しているAdvanced Plotting Toolkitは無償になっているようです(ライセンスの入力など求められていないことから判断しています)。
インストールの手順は単純で、VIパッケージマネージャを開いて、Advanced Plotting Toolkitを検索して開きます。

項目を選択して、使用したいLabVIEWのバージョンを選択し、Installをクリックします。

途中表示される項目も基本的にデフォルト設定のまま先に進めます。
もしインストールの途中で以下の図のようなエラー(以下の図はAdvanced Plotting Toolkit選択時のエラーではないですが似たようなエラーに出くわす可能性はあります)が出た場合には、インストールは行われず終了します。

こんなときにはLabVIEW側で設定が必要です。
エラーが出た場合の対応方法としては、LabVIEWのメニューバーのツールを開いてオプションを選択し、VIサーバカテゴリにて「マシンアクセス」と「エクスポートVI」の二つにアスタリスクを追加します。

無事インストールが進むと、最後に項目のインストール許可の画面が出たら完了です。

これにより、LabVIEWの関数パレットのアドオンのカテゴリから専用の関数が使えるようになります。

関数パレットを見て頂いてわかる通り、使える関数(=できること)がとても多いです。
そこで、以下では、このツールキットインストールに付属するサンプルプログラムの内容をベースに、どのようなことができるのかについて紹介していきます。
それぞれがサンプルプログラムとして付属してくるので、そのサンプルプログラムのブロックダイアグラムを見ればおおよそ関数の使い方はわかりますし、何ならサンプルプログラムの中で具体的に数値データを入力している部分(定数で書かれています)を、実際に自分たちのデータに置きかえればそれだけで見栄えのいいグラフを表示できるようになります。

なお、グラフは、いわゆる波形グラフ表示器ではなくピクチャを使用していきます。
各プロット表現の実装方法はサンプルのブロックダイアグラムを参考にしてみてください。
扱えるプロット
ではここからはこのAdvanced Plotting Toolkitで扱えるプロットの種類を紹介していきます。
等高線プロット
まずは等高線プロットです。
他のプロットにも共通することではありますが、色のバリエーションをあらかじめ決められたカラーパターンから選べます。
LabVIEWの標準関数でできなくないですが、こちらの方が鮮やかです。
以下は等高線図の「線」がない場合のプロット例です。

線を表示したプロットもできます。

散乱プロット
LabVIEWでもXYグラフで散乱プロットを扱えますが、こちらの方が鮮やかに、見やすく表現できます。

棒グラフ
棒グラフを扱った例です。
ツールキットを使用せずにLabVIEWの標準関数だけで実装するのも頑張ればできますが、見やすく表現するのは大変なので、ツールキットで実装できるならツールキットでやってしまいましょう。

エラーバー表示
エラーバーの表示もできます。
LabVIEWの波形グラフでもできなくはないですが、ピクチャでの表現の方が鮮やかです。

ヒストグラム
LabVIEWの波形グラフでも表示の種類を変えればできるものですね。
他のグラフと併用した場合に見栄えを統一するにはこちらのほうがキレイかと思います。

2次元ヒストグラム
LabVIEWでいう強度グラフ表示にあたるものです。
正規化機能やカラーバーのバリエーションについてはこれまで紹介した他の表示同様に選べるので、使い勝手がよいです。

極座標プロット
フロントパネルの説明文にある通り、曲プロットを直に扱うAPIはないものの、以下のような表現も可能です。

流線図
流れを表現する際に矢印表示で図示する場合に便利です。

タイププロット
強度グラフ表示と似ています。

ベクトル場表示
流線図と似ていますが、磁場を表現するときに使用するようなベクトル場の表現も可能です。

その他の機能
プロットの種類については上記で紹介した様々な「見せ方」があり、これに加えて見栄えをカスタマイズできる機能や他の関連する機能について紹介します。
表示形式を変える
まずは、表示の形式を変えるいくつかの選択肢です。
表示方法として一番目に付くのはカラーマップかと思います。
同じプロットに対していくつか異なるカラーマップで表現した場合の例を紹介します。

また、プロットに対して例えば線を追加することができます。

軸のスケール変更にも対応しています。

凡例の表示位置も選べます。

プロットそのものの大きさも変更できます。

情報を追加する
プロットには直接関係がないものの、一部をハイライトさせる目的で特定の図形を同じプロットに表示することができます。(流線図の場合の円も同様)

また、数式を表示することもできます。

数式とプロットと、表示上の前後関係を決めることもできます。

外部出力する
作成したプロットを外部ファイルに出力することもできます。
フロントパネルに外部ファイル拡張子の選択肢が紹介されていますが、例えばpdfにした場合の例が以下の通りです。

本記事では、キレイなグラフを描くための方法についてAdvanced Plotting Toolkitを紹介してきました。
せっかく測定、解析した結果をキレイにわかりやすく表現するのは、結果の確認やレポートの作成時など役にたつ場面が多いと思います。
こういったツールキットは存在を知らないとそもそも使おうという発想もできないと思うので、知らなかった方の参考になればうれしいです。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
コメント
とても参考になりました。
丁寧に説明していただき、ありがとうごさいました。
コメントいただきありがとうございます。
参考になったとのこと、よかったです。
これからも参考になりそうな内容の記事を考えて細々続けていきますので、引き続きよろしくお願いします(^-^)